著作権法は複雑ですが、OpenBSD のポリシーはシンプルです。OpenBSD は、 元のバークレー版 Unix の著作権の精神を遵守するよう努力しています。
カルフォルニア大学バークレー校のコンピュータシステムリサーチグループによって、 彼らが他者と争った比較的制約の少ないソースコードの配布を行うための裁判 を経て配布された、元となるソースコードセットのお蔭で、今日の OpenBSD は 存在することができています。
先進的かつ他のオペレーティングシステムに対する競争力のある基礎を持ち、 自由に再分配可能な「バークレー」版 Unix の機能は、 他のプロジェクトによる既存のコードを彼ら自身のコードに置き換えるための さまざまな開発グループの意思によるものです。 著作権にまつわる法的な問題に対して、コードの置き換えが必要不可欠である との認識から、著作権の精神を尊重する限りにおいて、また、関係する人々 との共同作業の推進に帰属というコンセプトが必須でもあったので、コードは 再配布されました。
バークレー版の著作権は、ソフトウェアの個人的または商業的な使用に 対してのいかなる制限も課さず、そして再分配されたバージョンに対する 著作権表示の維持と、広告等の中にだけは原作者の クレジットを入れることという、シンプルなただひとつの要求だけを 課しているものです。
これは実際には以下のようなものです。
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バークレーは 3 番目の条項 (広告に関する条項) を 1999 年 7 月 22 日に廃止しました。 OpenBSD ツリーの中にある、バークレー版ライセンスの文字どおりのコピーについても、 この条項が削除されました。さらに、多くのサードパーティの BSD 形式のライセンスは、 単に最初のふたつの条項だけから成ります。
OpenBSD の著作権は、バークレー版の著作権が課す以上のいかなる条件も課して いないので、OpenBSD は、バークレー版ディストリビューションと同様の広い 範囲での配布と適用性とを、ともに望むことができます。 しかしながら、このことは OpenBSD がバークレー版の著作権よりも制限された 著作権を包含することができず、あるいは次善のステータスにその配布物を格下げ しなくてはいけないことを意味しています。すなわち、全体としては OpenBSD は 自由に再配布可能ですが、いくつかのオプショナルなコンポーネントは、そうでは ないかも知れません。
著作権法の全般的な問題については、このドキュメントの範囲外ですが、 いくつかの基本的なものが該当します。現在の著作権法のもとでは、 著作権は、他に割当てられない限り、新しい作品を暗黙のうちに含み、 そして制作者に帰属します。一般的には、著作権は新しい作品について のみ適用されるものであり、作品に由来する物や、新しい作品に含まれる 一部分について適用されるものではありません。
著作権法は、次のように、作品の 3 つの一般的なカテゴリーを認めています。
基本的なコンセプトは、著作権には優位性というものがあり、それは、 派生作品の著作権は、原作の著作権者の権利を妨げるものではなく、 むしろ、部分的な追加が行われただけであるということです。同様にして、 編集物の著作権は、それが含まれている作品の著作権者の権利を妨げる ものではなく、存在としての編集物があるというだけのことなのです。
国内および国際的な著作権法に定義されているように、著作権が国際的に 保護されるものであるということを理解することは、非常に重要なことです。 通常、ソースファイルに含まれている「著作権表示」は、著作権そのものでは ありませんが、これはむしろ、ある著作物、またはその一部分の著作権を 保持していると主張している当事者だという注意書きなのです。一般的に、 このような表示は、著作権法に従った使用許諾を与えるライセンスの文言、 ならびに、著作権の所有者/配布者と著作物の使用にまつわる責任とを 位置付けた責任放棄宣言文と関連付けられています。
著作権は、その登録プロセスを通じてというよりは、むしろ作品を作る ことで発生するものですので、著作権法に規定された「公正な使用」に よって許可される以上の著作物の使用許諾の拡張は、より実践的な方法 でなければなりません。
この使用許諾は一般的に作品に含まれていて、「リリース」または「ライセンス」 の形を取っていますが、通常はいろいろな条件に従って、 著作権法が許可している以上の付加的な使用を許すものです。 そのうちの極端なものが「パブリックドメイン」で、これは原作者が物の 使用に何の制限も課さないことを主張するものであり、その他の制限条項 には、実質的に一切の付加的な使用を許さないものや、作品の使用に対し、 限定的、差別的、あるいは実行不可能な条件を課すものもあります。
また、重要な注意点として、リリースや条件は著作権の所有者が創作した 作品の一部分に対しての適用のみ可能である、というのがあります。 つまり、派生作品の著作権の所有者は、オリジナル作品の使用については、 付加的な使用許諾を許すことも、より限定的な条件を課すこともできない、 ということです。
著作権は、文書やその登録プロセスではなく、作品を創造することによって 生ずるものですので、著作権表示や関連するリリースの文言を削除したり 変更したりすることと著作権の存在自体とは、何ら関係はありませんし、むしろ、 そもそも著作物を使用しなければならなかったために変更を加えた人の 権利がどのようなものであれ、疑いの目を向けられるだけでしょう。同様に、 元の文言や条件と相反するような文言や条件を追加することも、それを 置き換えることにはならず、むしろ、そのような行為は、著作物を使おうとして 修正を加えた人の権利に疑いの目を向けさせることになり、そして誰もが 改良版や派生版を使用できるのかどうかということについての混乱を招きます。
最後になりますが、リリースというのは、一般的に、配布された著作物に結び 付けられています。これはつまり、もし、作品の原作者がある使用許諾のもとに その作品をリリースした場合、このような使用許諾は、すべての人が区別される ことなく、その作品のコピーを合法的に所有できることを定めているものとして 適用される、ということを意味します。これはさらに、使用許諾を設定すること で、著作権者が、ある個人や特定の人たちに対して、このような使用許諾が与え られていないと遡及することができなくなる、ということも意味しているのです。 同様に、配布された作品の使用に関して既に設定された使用許諾を無効にはでき ないので、著作権者は「商用」にするのかどうかを決定しておくべきなのですが、 その作品の将来の配布については、より限定的な使用許諾を課すことは可能です。
このセクションでは、いくつかの一般的な著作権に関する OpenBSD の基本的な姿勢を要約してみましょう。
バークレーの著作権は、OpenBSD の著作権のモデルとなっています。これは、 この著作権による保護の対象となる著作物の使用に対して、最小限の条件しか 課していませんが、著作権者の権利は残しています。バークレーの著作権に よるものか、またはバークレーのモデルに極めて似た著作権によるものは、 OpenBSD に含めることができるものです。
AT&T との間の合意の一部として、バークレーは、4.4BSD Lite ならびに Lite2 のファイルのいくつかに、AT&T の著作権表示を含んでいました。 このライセンスの条項は、標準的なバークレーのライセンスと同じものです。
さらに、awk のリファレンス実装のような、限定的ではない著作権を持つ AT&T のコードを、OpenBSD は他にいくつか含んでいます。
Caldera (現在は SCO グループとして知られています) は、Unix コードの著作権の 現在の所有者です。2002 年 1 月 23 日、(32V を含むバージョン 1 からバージョン 7 までの) オリジナル Unix コードは、Caldera によってフリーなものになりました。そのコードは 4 項からなる BSD 形式ライセンス の下に利用可能となっています。 その結果として、現在では実際の Unix コードを OpenBSD に取り入れることが可能となっています (ただし、このコードは実に古いものですので、一般的に、最新のものに追従するための 重要な変更が要求されます)。
一般的に、OpenBSD は、製造業者あるいはソフトウェアハウスの著作権による 保護の対象となる著作物を含みません。著作権者が、無条件に再利用を認めて いるような、一般的な使用許諾を設定している場合や、バークレーの著作権と 同様の表示を含む場合、あるいは、従業員とその雇用者の著作権表示のある 製品が、その作品に対して彼らが保持し得る権利を実質的に放棄しているような 場合などはこの限りではなく、OpenBSD に含まれることがあります。
カーネギー・メロンの著作権は、派生作品をカーネギー・メロンでも利用できる ようにすることを要求している以外は、バークレーの著作権に似ています。 これは条件ではなく、単なる要求ですので、このようなものも OpenBSD に含める ことができます。ただし、既存のバージョンの Mach は、いまだに AT&T の 著作権を切り離せていないことに注意すべきであり、このことが Mach のソースを 一般に配布する上での障害となっています。
元々の Apache の著作権は、Apache のコードから派生した製品が「Apache」という 名称を使用してはいけません、と明記してある以外は、バークレーの 著作権に似たものです。 この文言の目的は、別の集団が別の名称でリリースした改変バージョンの コードを、ユーザが「公式」バージョンだと勘違いしてしまうような状況を 避けるためです。 OpenBSD は編集物であって、派生作品 ではありませんので、このことは OpenBSD にとって問題にはなりません。 Apache license バージョン 2 で公開されているソースコードが OpenBSD に含まれることはありません。このため、現在 OpenBSD はバージョン 1.3.29 をベースに独自のバージョンの Apache を保守しています。 OpenBSD に含まれる Apache には、たくさんの改良とバグ修正が加えられています。
ISC の著作権は、ベルヌ条約によって不要となったため言語が削除された、 2 項からなる BSD の著作権と機能的に等価です。これは、OpenBSD に取り入れる 新規コード用ライセンスとして望ましいものです。サンプルのライセンスは、 /usr/src/share/misc/license.template としてソースツリーに含まれています。
GNU 公共ライセンスおよびそれに基づくライセンスでは、GNU の著作権で保護 される対象のコードに由来するすべての作品に対し、そのソースコードも配布 するか利用可能になっていなければならないという制限を課しています。
これは、ソフトウェアの共有ということに関しては気高い戦略かも知れませんが、 ソフトウェアの商業利用ということに関しては一般的に受け入れ難い条件です。 結論としては、GPL に従ったソフトウェアは、開発ツールとして、あるいは その使用によって OpenBSD が全体として GPL に従わなければならなくなる ようなことがない限りにおいては、「オプションとして」OpenBSD の一部に 含められることはありますが、GPL に束縛されているソフトウェアが OpenBSD のカーネルあるいは「ランタイム」に含められることはありません。
例として、いくつかの ports は GNU 浮動小数点エミュレーションを含みますが、 これはオプションであり、これなしに、あるいは代替エミュレーションパッケージを 使用してシステムは構築できます。他の例としては、GCC や他の GNU ツールが OpenBSD のツールチェーンに含まれていますが、これは実に、ツールチェーンなしでも 多くのアプリケーション用にシステムを配布可能ですし、あるいは配布者は、 GPL に 従うオプションとして、ツールチェーンをバンドルすることも選択可能だからです。
OpenBSD は、多くの部分で NetBSD をベースとしており、そこから発展してきましたし、 OpenBSD の開発者の中には NetBSD プロジェクトに関わっていた人たちもいます。 一般 NetBSD ライセンスの文言は、バークレーのライセンスと互換であり、そのような 利用の仕方を認めています。一般 NetBSD ライセンスに従ったもののみ、一般的に OpenBSD に含めることができます。
過去に、NetBSD は、一般 NetBSD ライセンスの範囲を超えた ライセンス条件を課し、NetBSD 財団には配布するライセンスを 与えた、個人による著作権によって保護されたものまで含めて いました。このようなものについては、課された条件が OpenBSD のライセンスにそぐわないものであったり、差別的な条件の リリースであったりする限りは、OpenBSD に含めることは できません。
FreeBSD のほとんどのものも、バークレーのライセンスによるものや、 バークレーをモデルとする著作権表示を含むものをベースとしています。 このようなものは OpenBSD に含めることができますが、GPL に基くものや OpenBSD のライセンスにそぐわないような各種の独立した著作権に基いた 一部のものは OpenBSD には含めることはできません。
ほとんどの Linux は GPL スタイルのライセンスに従っており、それ故に OpenBSD に含められることはありません。原作者の著作権表示に従っている 個々の構成要素については適格なものもあるかも知れません。 Linux のディストリビューションについては、配布元の組織の追加の著作権に 従ったもの、あるいは編集物として、または Linux のコアの一部として ではなく含まれているものかも知れないことに注意してください。
X、X.Org および XFree86 は OpenBSD の一部ではありませんが、X.Org や XFree86 3.3.6 の一部は、 適用可能なライセンスに従った、ユーザに便利な数多くの OpenBSD の ports と ともに配布されているものです。
ほとんどの「シェアウェア」の著作権表示は、OpenBSD プロジェクトの 目標にそぐわない、再配布や用途などに対する条件が課せられています。 このため、要求される条件や需要から見て、その条件が受け入れられる ものであるかどうか、あるいは条件の精神が OpenBSD プロジェクトの 目標と互換性のあるものかどうかなど、ケースバイケースのレビューが 必要となります。
本当に「パブリックドメイン」の範疇に入るものであれば、OpenBSD に含めることは 可能ですが、ケースバイケースでレビューが必要になります。 しばしば、著作権法のもとでのすべての権利を正しく保有していない人が、このような 状況を正当化するために「パブリックドメイン」だという主張を行ったり、 使用に際してのさまざまな条件が課されていたりすることがあるからです。 作品を本当に「パブリックドメイン」にするためには、すべての権利を放棄し、 これを制限なしに提供する必要があります。